タイトル | 喧嘩稼業 |
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原作・漫画 | 木多康昭 |
出版社 | 講談社 |
「陰陽トーナメント」への出場を狙う
佐藤 十兵衛は、巧みな策を重ねて
出場者であるボクサー、石橋との
決闘にこぎつけますが、
石橋の実力は予想を超え、
死闘は未知の領域に……
超一級のテンションと駆け引きが熱い
傑作格闘漫画です。
喧嘩稼業のあらすじ紹介
史上最高クラスの賞金が動く
「陰陽トーナメント」。
佐藤 十兵衛は出場意欲を形にします。
ボクシングを使う石橋を狙う十兵衛は
徹底的に相手を調べ上げ、
場所とタイミングを厳選し、
さらにはかつて石橋に負けた
高野たちをも作戦に加え、
石橋に決闘を承諾させます。
圧倒的有利な状況の中、
三角絞めを決めるなど
攻勢に出る十兵衛ですが、
石橋は喧嘩もとても強く、
技を凌がれた挙句
消耗してしまいます。
死闘が盛り上がるに従って、
試合に賭けているギャラリーも
どんどんとテンションを上げていきます。
喧嘩稼業のネタバレと今後の展開は?
何百億円という大金と、
格闘技の「最強」が決するという
「陰陽トーナメント」。
格闘家なら誰でも憧れるような場です。
その一大決戦は、
自分を負かした工藤が出場するなど
佐藤十兵衛にとっても魅力的でした。
出場に意欲を燃やす佐藤 十兵衛は、
かつて戦った高野たちをも使い、
大会に出場できる状況を作ります。
その手とはまず流派を背負わず、
そして周りとの関係も
うまくいっていない石橋を狙う、
ホテルにいて周りから完全に
隔離されている石橋の状況を
うまく活かして舞台を作る、
その際にかつて石橋に負けた
高野たちを使って断れない形を作り
試合に持ち込むという巧妙なものでした。
予想通りプライドの高い石橋は
戦いを受け入れ、十兵衛は
極めて有利な前提でバトルに入ります。
その上でさらに駆け引きで
徹底的に勝率を上げる十兵衛。
対する石橋は真っ直ぐ向かいます。
「無極」の理屈を使って
足払いからの三角絞めを使う十兵衛。
絶対的に有利な体勢を作ったはずが、
石橋は無茶苦茶なやり方でそれを外し
二度目の三角絞めも、
十兵衛を噴水に落として凌ぎます。
互いに死闘の決意を固める中、
観客たちも盛り上がっていきます。
喧嘩稼業の読んでみた感想・評価
いよいよ「本物」と出会えたような
そんな気がしました。
賞金二百億という莫大なお金の動く状況、
そして圧倒的な名声が公になる現実は、
いかなる闘士でも懸命にならざるを得ず
そのルールの少なさは、否応なしに
観客に良識やルールのない
「本物」の戦いを見せつけます。
また、豊富な知識と緻密な駆け引きが
描かれた本作の戦いは、読者にも
「本物」の闘争なのだと
腹を据えさせるに十分な
説得力があります。
また、所々挟まれるギャグも
作者の木多氏が長年続けてきた
「本物」のヤバくて下品なギャグです。
これだけの「本物」で構成されていて、
面白くないはずがありません。
個人的には、作品が進むにつれて
起きやすいインフレや
必殺技に頼りやすい状況を、
うまく駆け引きや相性で消化して
くれているのが嬉しかったです。
ファイトスタイルも画一的でなく
強烈な個性のぶつかり合いで
今、最高に面白い「興行」の
一つではないかとさえ
思えてしまう仕上がりです。
画力も高く、本筋とは関係ない
エロや日常シーンもいい感じに
進められているのも嬉しいですね。
喧嘩稼業はこんな方におすすめな作品!必見
前作「喧嘩商売」の流れを引き継ぎ、
勢いだけをヒートアップさせた本作は、
「陰陽トーナメント」の勝敗と結末という
シンプルな流れながらも、
現在の格闘漫画でも随一と言えるほどの
強烈な「熱さ」があります。
しかも技を競い合うだけではなく、
互いに知略や駆け引きに注力する
独特のテンポや間は
他作品にはないものでしょう。
また、主人公の十兵衛だけではなく
トーナメント参加者の戦う「理由」が
強烈かつ濃密です。
大規模なトーナメント戦は、
誰がどう勝つかが分からない試合が
多くを占めるのが魅力ですが、
本作のこの大会は出色のデキであり
格闘技黄金時代のトーナメントを
見ているような気分で楽しめます。
また、圧倒的なまでの格闘シーンと同時に
強烈かつえげつないギャグ話が挟まるのが
いかにも「木多ワールド」全開で嬉しいです。
格闘技や武術に関する知識も凄いですが
それに振り回されず活かし切る力量もまた
凄まじいものがあります。
前シリーズからだと大長編になりますが
一気に読み切ってしまいたい
傑作と言えるでしょう。