タイトル | バイラブ |
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原作・漫画 | 元橋隆司 カワサキヒロ太 |
出版社 | 双葉社 |
かつて冴えない自らの風貌から
同級生にも引け目を感じ、
辛い目に遭ってきた羽鳥涼子。
自ら顔を整形し、美容師として、
多忙かつ人気を集める日々を、
全力で過ごしていく彼女の前に、
「過去」を知る人々が現れる。
ただならぬ情念が感じられ、
しかし復讐だけではない
人としての強さを秘めた涼子の、
あらゆる「魅力」が詰まった、
情熱的なヒューマンドラマです。
バイラブのあらすじ紹介
商店街の美容室で、人気の美容師として
忙しく働く羽鳥涼子。
その実力のみならず、クールな美貌でも
客を惹きつける彼女ですが、
その容姿は徹底した整形によるもので、
本当の素顔は美しいとは言い難く、
そのために学生時代には様々な
嫌な経験をしてきたのでした。
変身した自分とともに、過去とは
完璧に決別したはずの羽鳥ですが、
店に彼女を知る紗和が現れたり、
偶然学生時代の憧れだった須永君と
居酒屋で隣り合わせるなど、
徐々に「過去」が迫ってきました。
しかし学生時代からずっと
須永君に憧れていた羽鳥は、
「危険」から離れることはできず、
むしろ自分から熱意を持って
接近してしまうのでした。
バイラブのネタバレと今後の展開は?
沢山のお客さんが訪れ、
いつも活気溢れる美容室で
活き活きと働く羽鳥涼子。
その人気の高さは
店長すら一目置くほどで、
時には自分にハマってくれた、
同性の女性と、
金銭付きで「関係」を持つほど
彼女は愛されていました。
しかし羽鳥の美しい顔は
整形によるもので、
本当の彼女はずっと、
自分の容姿に引け目を持っており、
彼氏にすら非道な行いを
されたことすらあったのでした。
徹底した整形により、忌まわしい過去と
決別したかに見えた羽鳥でしたが、
木下紗和が来店したことによって、
否応なく昔を思い出してしまいます。
紗和はかつて羽鳥の同級生であり、
憧れの人を彼女に「取られた」
苦い記憶があったのです。
紗和はまったく羽鳥に気付かず、
妙な態度は取らずに帰っていきますが、
過去同様輝く姿が羽鳥は気に入りません。
そこでストレス解消にと
お客さんがセッティングしてくれた
合コンに参加した羽鳥は、
イケメンを誘惑した挙句、勝手に
写真を撮って脅すなどの
過激な「イタズラ」を行います。
そうして多忙と店長からのストレスを
解消していた羽鳥でしたが、
入って飲んでいた居酒屋で、
偶然隣に学生時代の憧れの人、
須永君が座るというラッキーに直面し、
意気投合することに成功します。
しかし須永君は紗和の婚約者であり、
羽鳥との間には既に
入り込みがたい障壁があったのでした。
バイラブの読んでみた感想・評価
ギラついた復讐だけで
攻めて来るのかと思いきや、
より多彩で複雑な感情を、
たっぷり満喫できましたね。
本作のメインは何と言っても
主人公の羽鳥さんですね。
元々は冴えない容姿でしたが、
学生時代から抱えてきた
強烈なコンプレックスと、
「彼氏」にされた非道な扱いを経て、
徹底的な整形により、今までとは
まったく違う美貌を獲得しました。
そのルックスやスタイルは
非常に素晴らしいものがあり、
美容師としても調子は上々、
時には美人の女性と
色っぽいベッド・シーンなども
味わったりもします。
しかしよくよく考えてみると、
羽鳥さんは自分の顔とともに
あらゆる「過去」を捨てたわけで、
人生の全てを引き換えにした姿と
新たな生活を揺るがす存在に
敵対心を燃やすのも当然です。
とは言え昔の羽鳥さんしか
知らないという人にも、今の
彼女しか知らない人にも、
そうした態度は不自然に映るもので、
だからこそ強烈な不安定さと
危うさを感じました。
お客さんを相手に「イイコト」するのも
行為や相手が好きと言うよりも、
実利に加えて、自分の価値を、
再確認したいという思いも滲んできて、
強烈な生々しさやリアルを
感じることもできました。
しかし、パワー系の美容室で
バリバリ働いているものですから、
心底では望んでいるはずの、
平穏無事にはたどり着けそうもなく、
その部分でも、もどかしさを伴った
ハラハラを楽しめましたね。
バイラブはこんな方におすすめな作品!必見
冴えない自分を変えたい、魅力的な
自分に生まれ変わりたい、
整形をする動機は様々ですが、
自分の姿形を変えるのですから、
当人にとっては一大イベントであり、
高いモチベーションが必須です。
もっとも、誰にも迷惑がかからない
個人的な行為だと言っても、
創作として読んでいく以上は、
納得できるだけの「理由」がないと
感情移入しにくいというのも事実です。
その点本作の羽鳥さんは、
ずっと容姿に対して引け目を抱き、
しかもやっとできた彼氏に
非道な行為をされたことで
人生を変えるべく整形したわけで、
とても説得力がありました。
一方、単なる復讐ではなく、
様々な人間模様が絡む中での
感情が交流するドラマが楽しめ、
また、「女性同士」などの
ちょっと意外で刺激的な展開も
満喫することができます。
基本的な「軸」にとどまらない
バラエティ豊かなドラマを
楽しみたい方には必見ですし、
画力自体が非常に高く、
お色気シーンも多いので
娯楽作品としても面白いです。