| タイトル | 繋がる個体 |
|---|---|
| 原作・漫画 | 山本中学 |
| 出版社 | 講談社 |
会社員の井口は、連れられるように
足を運んだ合コンで、女子高生の
ココちゃんと親しくなる。
しかしそのココちゃんは、
同僚かつ元カノの女性の
何と妹でもあり……。
複雑な人間関係と絶妙な
ラインの「秘密」が
読者をドキドキさせる、
絶品距離感系ラブストーリーです。
繋がる個体のあらすじ紹介
彼女と別れてからというもの、
女性とは縁がなかった井口。
しかし同僚に強く促され、
渋々足を運んだ合コンの相手は、
何と全員が高校生だった上、
その中でもひときわ美人だった
ココちゃんにときめいてしまいます。
しかも合コン後も「合同行動」を
取ってしまったことで、
井口は「不祥事」の懸念に、
頭がいっぱいになってしまいますが、
結局は何もなかったようで
ほっと一息つけました。
しかし、元カノの同僚と
再び「親密」になったりと、
恋愛関係にも火がついていく中、
自分に懐いてくれているココちゃんが
元カノの妹だということが判明。
井口はいきなり妙な「秘密」を
持つことになってしまうのでした。
繋がる個体のネタバレと今後の展開は？
合コンは苦手だったものの、
同僚に強く誘われ断り切れず、
参加することになった会社員井口。
しかし女の子たちはとても可愛く、
特に「ココ」という子に、
ドキッとしてしまいました。
とは言え話を聞くと、彼女たちは
全員高校生だったのですが、
同僚たちは平気でアプローチし、
彼女たちの飲酒を強く
止めることもありませんでした。
そのまま同僚たちと女の子は
二人組になり「解散」しますが、
井口はココちゃんと一緒になりました。
ココちゃんは井口を
「まーくん」と呼び懐き、
一方井口も心が揺れており、
気が付いたら「部屋」の中という
強烈な状況に陥ります。
ココちゃんはまったく後悔したり、
怒ったりはしていませんでしたが、
早速同僚たちに暴露され、
元カノには全力で惹かれるなど、
井口のプレッシャーは
限界に近いものがありました。
しかもその後仕事で高校に
足を運ばねばならず、色々と
精神を削られていた井口は、
そこでココちゃんと再会し、
再び会う約束をしました。
しかし結局井口は、
ココちゃんに
手を出していないことが判明し、
重圧から解放された感を
味わいますが、実はココちゃんは
元カノの妹だったのでした。
繋がる個体の読んでみた感想・評価
ワイワイオラオラ系の
物語かと思いきや
非常に細やかな面が多く、
じっくりと楽しみつつ
読み進められました。
本作のメインテーマはズバリ恋愛、
それも会社員と高校生だったり、
元恋人同士だったりといった、
ちょっと「一般的」ではなく、
しかも人間関係が複雑に
絡まった面倒なものです。
とは言えそうした恋の話が、
「面倒」だと言えるのは、
当事者ではないからであって、
本作の主人公の井口も
ココちゃんも何だかんだと
充実しているのがいいですね。
やはり後々苦労したり的な
懸念があっても、本気で
楽しめる相手でないことには、
恋愛などは難しいわけで、
そうした「当たり前」を忘れず
描写しているのも良いところです。
一方、女子高生相手でも
平気で合コンして一緒に
飲酒するなど、かなりヤバい感じの
井口の同僚たちですが、妙に
デフォルメしたり、嫌な雰囲気を
まとってもいません。
それは、「歪めずに描いて」いる故の
一種の誠実さのようで、素直に
作品が入っていく、
全体的な要因にも
なっているような気がしました。
繋がる個体はこんな方におすすめな作品！必見
進学や就職、趣味を始めたりなどは、
意識して「する」ことが多いですが、
影響が大きいにも関わらず、うっかり
「落ちて」しまうことも多いのが恋です。
一方、日本を含む多くの文化圏では、
一度に二人以上の人に恋をしたり、
アクションをかけたりすると「不誠実」と
されてしまうこともありますが、
しかしその線引きは実に曖昧で、
「秘密」にすべきかどうかも迷います。
本作は、そんなギリギリのラインを
実にうまくついた人間関係を構築しており、
色々な意味でドキドキを楽しめます。
やはり、いくら元とは言え、
彼女だった人の女子高生の妹と、
ずっと年上のサラリーマンが合コンして、
「仲良く」なっていたら、元カノとの
「元鞘」はおろか、色々と社会的にも
まずそうな感じです。
しかし相手からの好意は避けようがなく、
楽しくも面倒な恋愛の様々を
存分に楽しむことができます。
心のぶつかり合いなどはあっても
関係自体は至って本格派の
王道恋愛物語とは、
また違ったスリルを楽しみたい、
でも破天荒なだけでも嫌だという
場合にもオススメできます。
思っている人がいる中でも、
何となく「浮気」してしまう、
そんな人の心の脆さや、
だからこその愛らしさなど、
微妙な部分が多く描かれ、
非常に繊細な作品でもあります。
