| タイトル | 真夜中にKiss |
|---|---|
| 原作・漫画 | 持田 あき |
| 出版社 | 集英社 |
父親が亡くなる中、母と弟を支え、
しかも男女交際を始めるなど、
とにかくパワフルな少女、名取 のの。
しかし彼女の忙しくも充実した日常は、
母親の再婚によって激変。
いきなり大起業家一条グループの一員に、
なってしまったののは……。
自力で上を目指そうとするののの
タフな強さが印象的な、
現代型シンデレラストーリーです。
真夜中にKissのあらすじ紹介
お父さんが亡くなったという
辛い出来事を乗り越え、
勉強に家事に恋愛にと、
精一杯頑張りつつ青春を謳歌する
名取 のの。
しかしのののお母さんが恋愛をし、
その相手がホテル経営で有名な
一条グループの会長だったために、
突如として彼女の生活は一変。
周りが状況を受け入れている中、
嫌とも言い出せず、
一条家のお嬢様としての、
豪華な生活がスタートすることに。
しかし、いきなり特権階級では、
当然周囲からの嫉妬も大きく、
家の富にすがってくる者も多く、
環境の変化の激しさと
きつい周囲からの反応で、
ののは歓迎会を退席してしまいます。
しかし、そんな彼女に、
一条家の元々の御曹司である
一条 和臣は強烈なハッパをかけ、
ののもまたその言葉に応じる形で、
和臣を伴って会場に戻るのでした。
真夜中にKissのネタバレと今後の展開は？
高校一年生の名取 のの。
お父さんが亡くなり、
母と弟の三人暮らしで、
勉強だけではなく、
各種の家事もこなす
働き者の女の子です。
彼氏の雅紀と付き合い始め、
青春を謳歌してもいる彼女は、
大好きなお父さんの葬式でも
一度も泣くことなく、
その翌日に家事をこなすほど
頑張り屋さんでもありました。
しかし、そんなののの通う高校に、
外車が乗り付けてきて、
中から出てきた黒服の人たちに、
ののは車に乗せられてしまいました。
ののが連れて来られたのは、
数多くのホテルを経営する
一条家のお屋敷、
本来明らかに場違いな所ですが、
のののお母さんと弟は平然としています。
どうやらのののお母さんが恋した相手が
一条グループの会長さんだったようで、
二人が結婚したために、
ののたちは「一条家の子」に
なってしまったとのこと。
あまりのショックで寝込んだののは、
ようやく目を覚ましたところで、
見知らぬ美少年と鉢合わせになり、
それからなし崩し的に再婚を認めたりと
とても変化の多い一日を経験しましたが、
彼女が大変なのはここからだったのです。
真夜中にKissの読んでみた感想・評価
胸のすく思いが味わえました。
シンデレラストーリーとしては定番、
しかし、親の再婚という重大な事でも、
あまりうろたえたりはせず、
しかしお金や豪華な暮らしに
溺れてしまうでもなく、
「試練」に立ち向かうののの姿勢が、
非常に熱く頼もしかったです。
そして、単に自分だけの我慢ではなく、
「クィーン」になることで、
改めて自分の意識を証明し、
しかも人への模範にもなるといった
彼女の全般的なバランスの良さが、
単なる成り上がりの話ではなく、
「上」に行ったからこそ行われる
戦いの現実は、そこでも
失われない重要なものを、
描き出すにふさわしい格好に
なっているのだと感じました。
こういった話では定番の、
「嫌味なお金持ち」は
しっかりと登場するものの、
有力者の庇護や仲裁でなく、
あくまで自力で、権力に頼らず
やり返していくところなどは
今風であると同時に、
本作らしい雰囲気を感じました。
確かに、ちょっとした嫌がらせで、
潰れてしまうというのでは、
同情や共感はできても、
人の上に立つ何らかの役割を
期待するのも難しくなるわけで、
その点本作で示された強さは、
ビジネス漫画に見られるような
大人なタフさがあったようにも
感じ、改めてののたちが、
楽ではない生活で
頑張ってきたんだなと、
応援したい気持ちにもなりました。
真夜中にKissはこんな方におすすめな作品！必見
地位も特技もない一般人が、王子様に
見初められることで、一挙に世界が変わる、
そんなシンデレラストーリーは多いですが、
昔のように王様は絶対ではない現代では、
そういった関係をむしろ否定したり、
もう少し違う形を考える場合も多く、
結局はお金ではないということで、
昔からの暮らしに戻るといった
作品もありますね。
もちろん、そうしたお話が間違い
ということはありませんが、
成り上がり物語としては
やや爽快感に欠けるのも現実です。
しかし、本作の主人公であるののは、
母親が急に再婚したという事態にも、
グれたりせずに適応し、
むしろ、今まで通りの自分自身で、
「クィーン」になってやるという
強い意思を持っています。
結局彼女にとっては、
再婚による地位の変化も
ラッキーではないのですが、
そうした逆風や「裏切り」にも
負けず、しかも人を見捨てずに
立ち向かっていく真っ向からの強さは、
むしろ痛快ですらあり、
陰謀渦巻く社交界、的な、
従来のイメージとはかなり違う、
明るく熱い雰囲気を全体に
もたらしてもいるため、
今までとは大分違う、
しかしど真ん中の面白さがある、
上流階級を舞台にした作品を
読んでみたいという方には
しっくりくるのではないかと思います。
