タイトル | 死ズルサマ~美しすぎる怪談~ |
---|---|
原作・漫画 | 有希うさぎ |
出版社 | Bコミ |
学校の屋上には、自撮りをした美女に
呪いをかける「死ズルサマ」が
怨念として住み着いていた。
その伝説は時を超え、美しい少女たちを
苛みそして蝕んでいく。
生者の怖さと怨念の恐ろしさが融合した、
ジワジワ追い詰められる描写が秀逸な、
新感覚の学園ホラーの傑作です。
死ズルサマ~美しすぎる怪談~のあらすじ紹介
転校してきた美少女双葉は、
仲良くなった恵と京香から、
「死ズルサマ」の伝説を
聞かされることになります。
それは、美しいがために
嫉妬を受けひどいことをされ
死んでしまった少女が、
かつてこの学校にはおり、
彼女は美少女だけに
呪いをかけるというもの。
恵たちの頼みを断れず、
屋上で自撮りしてみた双葉は
、
「死ズルサマ」との
ツーショットの形となった
自分の顔を見ることに。
すぐに写真を消去した双葉ですが、
いつの間には写真は復活し、
しかも顔にトラブルが多発したために、
心底から恐怖を感じ、
呪い解消法を教えられ実行しますが、
そこには思わぬ悲劇が待っていました。
死ズルサマ~美しすぎる怪談~のネタバレと今後の展開は?
演劇部の榊原恵と、
生徒会長の田辺京香。
校内でも姫君と呼ばれるほどの
美少女として知られる二人は
転校生の白井双葉を伴って、
話をしていました。
何でもこの学校には
「死ズルサマ」という、美少女だった
怨念が居ついており、
屋上で自撮りをした美女には
死ズルサマが映り込み、
呪われてしまう伝説があったのです。
十数年ほど前に美しすぎたことで
同じく美少女だった友人から
嫉妬を浴び、ひどい出来事で、
その美貌を奪われ死んでいった
静流という少女の怨念が
屋上には宿っているとのこと。
故に美女しか呪われず、
美女試しとも呼ばれている
その怪談でしたが、
双葉が請われるまま写真を撮ると
そこには死ズルサマが写っていました。
もちろん呪いなど信じないという
態度を見せる少女たちでしたが、
双葉は消したはずの写真が復活し、
しかも自らの顔などに限定して
トラブルが起こり続けるという
事態に直面してしまいます。
怯えた双葉は恵たちを頼り
呪いをかき消すための儀式として
泥を顔につけ
自撮りをし直してみましたが
死ズルサマはいなくなってくれず、
双葉には悲劇的な結末が訪れます。
一方の京香は混乱します。
何故なら泥に漆を混ぜたりと
「イタズラ」をしたとは言え
ここまで悲惨な結果を
予想してはいなかったからです。
しかし「死ズルサマ」伝説は
京香の予想とはまた別の
恐ろしさを秘めていたのでした。
死ズルサマ~美しすぎる怪談~の読んでみた感想・評価
美少女限定という、ある意味
憧れと嫉妬を絡めた呪いだけに
他にはない怖さがありました。
ごく普通の学園風景を、一挙に
華やぐものにしてしまうような
美しい少女たちの親しい姿が、
本作の冒頭の描写であり
また主軸テーマとも言えます。
本作の死ズルサマは
美女が自撮りをした時だけ
呪いを発動させるという存在。
つまり「彼女」が「同席」した
女の子は美少女ということになり、
そこに単なる怖さ以外の、
憧れや嫉妬といった感情が
混ざってくることになるんですね。
とは言え死ズルサマの呪いは
「遠からず醜く死ぬ」という
極めて強烈なもの、とされていて、
話を聞いた側は本当に
恐ろしくなってきます。
もっとも、メグの話す
「死ズルサマ」怪談は、
良く考えれば色々と
怪しい点が見えてくるのも
本作の巧みな点ですね。
しかしその「お話」が、
果たして本当に無根拠なのか等の
考えるほどに恐ろしい部分も多く、
読んでいてじわじわと
心が縛られるような
怖さを感じましたね。
もっとも誰が相手だろうと、
学校の屋上で自撮りしなければ
良いというわけで校外の人には、
まったく実害がなく、
伝説だけが一人歩きするのも
「学校怪談」的だと言えます。
死ズルサマ~美しすぎる怪談~はこんな方におすすめな作品!必見
得体の知れない怨念のこもった怪談、
闇から出てくる妖怪変化、
どこからか召喚されてくる悪魔……、
彼ら人外が暗躍する物語は
時にはとても恐ろしいものがあります。
ただ一方で妖怪よりも生きた人の
存在の方が怖いというもっともらしい
意見もあります。
そのため多くの物語は、どちらが
怖いのかという点を選択する必要が
出てきたりするのですが、
本作は生者の思いと死者の念が、
虚実を含めて混ざり合うという
独特の展開が取られています。
そのため読み手も登場人物同様、
簡単に決着をつけることが難しく、
「質感」を持った怖さが味わえます。
リアルには勝てない怪談でない
「本物」の肌触りを楽しみたいなら
本作はベターな選択肢でしょう。
被害が無造作に拡散したい分、
非現実な「現実」として語られる
下地があるとも言えますし、
実際にはごく些細な
違いだからこそ、そこにこだわる
彼女たちには説得力もあります。
ある意味では大人の広い世界では
通用しづらい「思い」が
恐ろしく形となった点で、
「学園ホラー」として極めて
正しくなっているという部分も
注目しておきたい部分ですね。